08:琥珀の耳飾り





 繊細なつくりの少女の面立ち。
 少年は、その横顔を眺めていた。
 少女の耳には、耳飾りが下がっている。



 始めからか。
 途中からか。
 今からか。
 それは解らなかったけれど。
 とにかく気付いた。



 少年は少女の事が大好きだと。
 一緒にいられて嬉しいと。



 彼女との絆を形にしたい。
 絆を証明する形が欲しい。



 少女はそんな少年の気は知らず、振り向いた。
 自分を見ていた事に疑問に感じ、疑問符を浮かべる。
 そして、1つの可能性を思い立って自らの耳を指す。



 少女の耳に、揺れる石。
 琥珀色のそれは、間違いなく琥珀だった。



 少女は少年が耳飾りを見ていたと思ったらしい。
 右耳から片方外す。





「片方、上げましょうか?」





 2人で同じものを共有する。
 その提案は、少年にとってとても魅力的なことだった。





「でも、穴がないものね」





 彼女は彼の耳を指先で突付いた。
 くすぐったい感覚に耳を押さえて、彼は応える。





「開けるよ、耳に穴くらい」





 それを手に入れる条件なら安いもの。
 少年は裁縫道具から鋭い針を取り出した。
 何の躊躇いもなく、それを左耳たぶに突き刺した。



 鈍い、痛みが生まれ出る。
 血が、少し流れ出る。
 誕生した細い空間。
 まだ赤く濡れるそこに、琥珀の耳飾を通した。



 彼女の血肉に触れていた針が、今は自分の血に触れている。
 深い何かを共有できた錯覚がして。
 それはとても、心弾むことだった。