05:水の都





 川を流れに沿って歩く。
 止まらない水と共に。
 止まらない時間と共に。



 いつしか、川は、留まる湖になっていた。
 大小様々な湖の集まる水の街。
 そして、日はいつしか沈みきっていた。



 暗い水を覗き込む。
 張られた鏡のように。
 そこにはゆらゆらと「自分」が映っていた。



 見覚えのない顔。
 黒い髪。
 銀の瞳。
 それがゆらゆら水面に揺れていた。



 ゆらゆら、ゆらゆら。
 そして、その規則性が乱された。
 波打つ水面。



 対岸。
 そこに見たことのある姿が映った。
 星のように光る髪の少女。





「こんばんは」





 髪を洗っていた少女は、少年に気付き声をかけた。
 少年もこんばんは、と返し、対岸へ向かう。





「また、会ったね」





 少年は再会を嬉しく思った。
 だからとても嬉しそうに笑った。
 自分でもとても自然な笑みだと思った。





「反対方向に歩いて行ったのにね」





 少女は可笑しそうに笑った。
 髪から滴る水が流れ星のように落ちて行く。
 とても美しい笑みだった。





「今度は」





 少年は、その笑みを見つめながら問う。





「同じ方向に、歩いてもいいかな?」





 次の朝。
 たくさんの水の鏡は、連れ立って歩く少年と少女を映していた。