番外@----------



勇者とはどうやら、魔王を倒すのが仕事らしい。





職業:勇者





 乾いた大地の上を4人の少年少女が歩んでいた。
 魔王なる者を倒すために旅立った勇者の一行である。

 柔らかな陽光を湛える穏やかな午後。
 こんな日は魔物さえでなければ、ピクニック日和だろう。
 しかしながら、勇者ストロフィスの表情は気候に反していつもより沈んで見えた。

「勇者君、どうしたの?何か悩み事?」

 魔法使いのクラムが、心配したのか彼の顔を覗き込んで訪ねた。
 すると彼はゆっくりと顔を上げた。

「…勇者の仕事は魔王を倒す事だろ。
 魔王を倒してしまったら、俺は無職になるな…って」

 やたらと深刻そうな声でそう呟いたストロフィスに、盗賊のブラウはずっこけそうになった。

「お前なぁ…」
「大丈夫よ、ストロ。魔王を倒せば世界中に恩を売れるのだから…
 生活くらいどこの国でも補償されるだろうし、自伝だって書けば売れるし、
 あなたの英雄譚を本や歌にする人だとかから…」

 僧侶のラゼリアが優しい口調で、最もだがあまりにも夢のない事を口にする。

「何言ってるの」

 そのラゼリアをクラムが遮った。
 彼女は何故か太陽をびしっと指差した。
 晴れ渡った青い空には白い雲が緩やかに流れている。

「魔王を倒したら大魔王や真の魔王が次々と現れるの!これで勇者君は一生勇者!!」

 高らかに告げたクラム。
 ほんの一瞬の静寂が流れる。
 そしてそれをストロフィスが呟きで破る。

「俺の将来は魔王尽くしか…」
「そう!生涯一勇者!!生涯唯一魔王!!」

 更に嬉し気に声を張り上げるクラム。
 彼女になされるがままのストロフィス。
 そんな2人を楽しそうに眺めるラゼリア。
 そしてブラウは…

 ブラウはそんな彼らに、

「まだアリアハンを出てもいないのに「魔王を倒したらどうしよう」
 何ていう心配をしている場合じゃないだろう」

 と言い出せないでいた。






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