運命論 -fatalism-



時間はまた繰り返し 時計の針はくるくると回る
再び同じ瞬間を刻むことなく 今は刻々と流れて行く


私達の歩む道は時間の中に在りながら
深い闇に閉ざされて 足下が朧げに見えるだけ
足下すらおぼつかないのに 遥か先を見通す事が出来るはずもない

予言なんて保証のない手軽な案内板で目的地を定めても
辿り着くのに必要なのは私達自身の手足

先を進む他人の足跡を辿っても
安全な道だと―破滅の道でないと誰も言えない


それでも 踏出せば後戻り出来ない
振り返り進んでも それはまた新しい一歩

分岐点は人生の選択?途切れていては死を表す?
その道に出会ったのは 偶然か必然か

生まれたその日に決められた?多くの中から選び出した?
自らの力で作り出した?
それはその道を歩く私達にしか答える事は出来ない


私達はまた繰り返し 時計の針のようにひたすら進む
再び同じ瞬間を過ごすことなく 今をずっと生き続けていく


前を見て 後ろを見て 在るかも分らないその道を
あなたも『運命』と呼ぶのだろうか







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